現場をICT化するメリットとデメリット

老年人口の増加によって、介護を必要とする人も年々急速に増え続けています。このままでいくと2060年には、高齢者1人あたり1.2人で支えなければならないことが、内閣府の調査で判明しています。

その一方で、介護現場ではこのような超高齢化社会に追いつかず、必要な人材の確保や教育が不十分になっているのが現状です。これは平成30年の厚生労働省による調査結果でも、介護分野の有効求人倍率が他の分野に比べ、依然と高い水準にあることからも明らかです。
また公益社団法人介護労働安定センターが実施した労働実態調査では、職員の育成がなかなか進んでいない介護事業所が、数多くあることも判っています。

このような介護業界の現状に対して期待されるのが、ICTを活用した介護現場の効率化です。
例えば、これまで手作業だった、日々の記録や介護計画の立案などの事務作業はICTで効率化が可能なため、職員の負担を軽減することができます。タブレットやスマートフォンのような携帯端末さえあれば、介護作業や移動の合間に事務処理できるので、時間を短縮した部分で人材不足を埋め合わせることが可能です。
さらに職員同士の情報共有も瞬時に実現できる上、職員への教育や指導もリアルタイムで実施できます。

ただし、ICT化するにあたっては導入コストや維持管理費がかかるため、事業所の経営を圧迫することがあり得ます。またICT化による情報漏洩の高いリスクも見逃せません。そうならないよう、導入の際には個人情報の保護を含めた徹底的な情報管理が必要になります。